May 21, 2011
コンピュータの修理、ハードディスク
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オバマ政権が9月21日、台湾に対する新型F16戦闘機の売却を見送った決定がその後の米中、米台、そして中台両岸の関係に複雑な影を落としている。売却に抵抗してきた中国に米側が「屈した」という見方から、米議会には批判がくすぶる一方、台湾海峡の緊張を回避して3当事者間の微妙な均衡を保つ現実的な対応という冷静な分析もある。
▼聯合報(台湾)
■「要点はF16にあらず」
米国が台湾への新型F16戦闘機の売却を見送り、旧型機改良にとどめたことについて、当の台湾政府は「今後も売却を求める」としつつも、「改良で新型機の80%程度の戦力は得られる」とし、馬英九総統自身も「防衛協力に感謝する」と談話を発表した。
中国との関係改善を推進する馬政権が、新型機を逃してもなお米国に「感謝」を表明する苦しさは、与党・中国国民党寄りの聯合報が9月23日付で「要点はF16にあらず『一中各表』にあり」とした「社論」が象徴的だ。
「一中(一つの中国)各表(各自解釈)」とは中台が「一つの中国」で合意する「92年コンセンサス」の台湾側解釈。1992年に中台双方の交渉関係者が口頭で交わしたとされ、台湾側は「中国とは『中華民国』」と解釈。中国との政治的対立を避け、経済、文化交流を推進する理論だ。
同紙は、「(中台)両岸が『和平発展』すれば旧型機改良で足りる。米国の決定は、武力ではなく、平和、民主的解決が望まれているということ」と主張。
「今後の国防は戦闘機などではなく『一中各表』を堅持した戦略にある」とし、旧型機改良で落着したのは「米、中、台のバランスの結果だ」と評価した。
「一中各表」は中台間の自由貿易協定(FTA)に相当する経済協力枠組み協定(ECFA)締結の前提とされるが、野党・民主進歩党寄りの自由時報は24日付で「『一中各表』のお札で盗賊(中国)を防ぐというなら、裏面にはきっと『降伏』と書いてあるはずだ」と切り返している。
自由時報は23日付でも、米国の決定を「台湾関係法に違反している」といった野党の声や「応急処置の絆創膏(ばんそうこう)」とする米シンクタンクの見解を伝えた。(台北 吉村剛史)
▼ウォールストリート・ジャーナル(米国)
■最大の勝者は「北京」
台湾への新型F16戦闘機の売却を断念したオバマ米政権に対し、議会が超党派で批判の集中砲火を浴びせ続けている。売却に反対していた中国への配慮があったとみられるためで、政権側は釈明に追われている。
5日付のワシントン・ポスト紙(電子版)は、キャンベル国務次官補が4日の下院外交委員会で批判の矢面に立たされたというAP通信の記事を掲載。オバマ政権が事前に中国側に決定内容を伝えていたとの疑惑を否定するなど、キャンベル氏が終始苦境に立たされた様子を報じている。
「オバマ政権はアジアの同盟関係にある台湾を守るふりをしているだけだ」。こう指摘したのは米紙ウォールストリート・ジャーナルの9月23日付社説だ。
米政府高官が、売却断念の決定について「初期型を更新することは事実上、新型戦闘機をより安価な価格で提供することと同じだ」と語ったことを紹介。
米台関係に詳しい台湾関係者の「米国の態度は不誠実だ」とのコメントも紹介し、米国が決めた初期量産型F16の改良について「エンジンも古いままで、台湾軍は、旧式のF5戦闘機を放棄できないだろう」と述べ、台湾海峡の軍事バランス上、台湾側に不利な決定だったと断じた。
一方、米政権の発表翌日、ジョン・コーニン上院議員(共和党)が新型F1666機の売却を求める法案を提出したことについて、社説は、2013年に生産ラインを閉鎖するとみられているF16の生産継続を後押しするものだと評価した。
社説はまた、「中国の圧力を受けたホワイトハウスと、さらにその圧力を受けた上院民主党に(コーニン氏は)法案提出を妨害されていた」とも指摘。台湾への武器売却問題での最大の勝者は「北京だ」と結んだ。(ワシントン 佐々木類)
▼エコノミスト(アジア版)
■3者なだめる妥協策
「中国と台湾、米国内の政治家を何としてもなだめようとした米当局が、3者全員を満足させるためにこの決定を紡ぎ出した」
英誌エコノミスト(9月24日付)は「微妙なダンス」と題した記事で、米国による台湾への新型F16戦闘機売却断念を、台湾海峡問題での予期せぬ事態を回避するための「妥協の産物」と評した。中国にとっては「(新型機売却という)危険な線には至らない措置」であり、台湾と、新型機売却を支持する米議員には、改良後の初期量産型機は新型機と性能上は「変わらない」と説明できる。
米国が台湾に53億ドル(約4千億円)相当の武器売却を決めたこと自体に、中国は反発したが、同誌は多くの専門家が米中の軍事関係に影響が出ても深刻にはならないとみていると指摘。
中国が台湾海峡での制空権を脅かすまでに軍事力を高めた今、仮に新型F16を66機売却したとしても、「その傾向を覆すには足りない」との見方を示した。
今回の決定は来年1月に台湾総統選を控えた微妙な時期でもあった。同誌は、米政府・議会には独立派の最大野党、民主進歩党の蔡英文主席よりも、対中関係を強化した中国国民党の馬英九総統が望ましいとの意見があるとしつつも、新型機売却見送りをめぐっては「馬氏の対米関係強化の努力が機能しなかった」と指摘、民進党がつけ込む余地を与えたとした。
一方、英紙フィナンシャル・タイムズのアジア担当編集長、デビッド・ピリング氏は22日付のコラムで、「米国の台湾への関与が弱まったとみなされる」との懸念を示す一方、蔡氏が中国への態度を軟化させていることから、総統選では対中政策よりも雇用や社会保障など有権者により差し迫った問題が争点になると指摘した。(宮下日出男)
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